不動産島サーチ2 「再建築不可」
本日は「再建築不可」というワードから建築と不動産をみてみます。
家探しの経験がおありになる方はご存知かもしれません!
不動産の売却図面を見ていくと、割安な物件の備考欄に時々「再建築不可」という記載があります。
そういった物件は、築年数の浅い住宅にはない雰囲気や、割安な価格、といった魅力を備えています。
また、再建築不可の物件は、建築設計を学んでいる人からすると、とっても魅力的な対象に見えるかもしれません。
今あるものを使い続けるというのは、ある種の正義感を揺さぶられるといいますか…。既存の環境を壊さないで、引き継いでいくというやり方は、賛同を得やすいように思います。
ただし、住宅づくりの主人公であるクライアントにとってはいろいろ問題があるようで…。
そもそもなんなの再建築不可
現在建物がたっていても、様々な事情で建て替えができない物件が「再建築不可」と呼ばれています。法律ができる前からたっていたり、もともと違法な建築だったりして、今の法律だと現状利用しか方法がないのです。
再建築不可の理由はいくつかあるようですが、どれも道路に関することのようです。
・条件を満たした公道に接していない
・公道に2m以下しか接していない
まとめると、接道義務を満たしていない
というもの。防災の観点からすると、道路に面していないというのは問題ですよね。
もちろん、私道に面した昔ながらの住宅など、法律的には望ましくなくとも、街の風情を作り出している場合もあり、一概に問題視するようなものでもないのかなぁ、と個人的には思ってしまいますけれど。
融資をうけにくい:お金をかりにくい
さて、もう少しクライアントの視点から話を膨らませていくと、
銀行の融資がおりにくい、という大問題があるらしいです。
なんででしょう。
それには「担保」になりにくいから、という理由がある模様です。
お金をかす側からしたら、いざとなった場合(考えたくないことですが、お金をかえしてもらえなくなったり、という場合…)に土地や建物を売ってお金を取り戻すしかない。
そんな状況になったときに、価値のない土地・建物では価格が安くなってしまい、お金がかえってこないことが想定できてしまいますよね。そのため、再建築不可の物件に融資すると、かなりリスクをとることになる。
そういった立場の方の話を聞くと、たしかに融資が通りにくいのも当たり前だなぁ、となってきますね。
融資と不動産の関係性に興味がおありの方は、以下のリンク先なども読んでみてください。具体的な条件というよりは、不動産がどのように評価されているのか、という視点でまとめられています。
借入基礎知識:担保編 ③不動産の評価方法と担保になりにくい不動産 | 経営ナビ
融資を受けにくいということは、自己資金で購入するという形になってしまうかもしれないわけですね。
もちろん、活用することが不可能ということではないようです。ただし同時にとてもハードルが高い部分があるのは間違いなさそうです。
建築確認確認を受けられない:大規模修繕などが難しい
適法でないので、建築確認申請をだすことができないんだそうです。
申請だしても通らないものなので、だせない。
すなわち、大規模修繕、増築などが難しい、という状況です。
それらのことが、わかりやすく記載されてるサイトがあったのでご参照ください。
かなり網羅的にまとめられています。
どんな物件を購入するにもリスクはつきものですが…
なかでも再建築不可の物件は、
しっかりとした調査と、リスクへの合意が欠かせなさそうです。
観光客の視点から話をしても…
というわけで、再建築不可には、いくつものハードルとリスクがあることがわかります。
もちろん、うまく活用することで価値を作り出すことは間違いなく可能です。
しかし、クライアントが通常の物件よりリスクを取る必要があることも間違いない。
雰囲気がいいとか、風情があるといったような、まるで観光客のような視点から言葉をつくしても仕方ないです。
実際にあるリスクを取り除いていくノウハウを積み重ねるほかないですが、どういう方法がありうるのでしょうね。調査方法なのか、法律の変化なのか…。