設計以前。追究日記

建築学び、不動産でいろいろやっているブログです

不動産サーチ3 「都市計画道路」

建築設計者は制約を求める?

皆さんはクリエイティブナイトというイベント、ご存知ですか?

www.8brandingdesign.com

昨夜開かれた第21回に、お邪魔してきました。

ゲストは、NOSIGNER代表の太刀川瑛弼さん。

ブランディングのこと、越境すること、人格を切り替えること、時間とお金のこと…さまざまな話題がありましたが、印象的だったのは次の言葉。

「建築設計してると制約をもとめるようになる(大意!)」

「制約を逆手にとってこそ、という所がある」

 

さて、今回は、建築と同様に不動産という視点に立っても重要な、制約についての話です。ほんのさわり、ですけれど。

以下、クリエイティブナイトの話はぜんぜんでてきませんが、ご容赦ください…

 

不動産にかかる制約

不動産の売買の際には、対象の不動産にどのような制約があるのか、調査が必要になります。

大きな金額が動くなかで、リスクをとるのは常にクライアント。

畢竟、調査は重要に。

 

調査は現地で行うだけではなく、役所に出向いて用途地域や各種条例を調べます。

調査する範囲は幅広いので、今回はそのほんの一部、「都市計画道路」について書いていきます。

 

都市計画道路、ややこしや

理由は、どれほどのリスクになるのか一瞬でイメージしにくいと(自分が勝手に)思っているからです。

都市計画道路のなかでも、計画決定されているとか、優先整備指定されているとか…色んな状態のものがありますよね。それが不動産にどれぐらい影響のあるものなのか、感覚的に分かりにくい所があるなぁ、と思います。

 

用途地域を調べれば、建築できる建物の種類や、建ぺい率・容積率が分かります。

浸水履歴やハザードマップを見れば、災害のリスクを想像できます。

でも、都市計画道路の優先整備予定地が対象不動産にかかっているとわかった際に、それがどれほどの制約になりそうか、少し想像しにくいな、とはじめは思いました。

怖がり方がわからない、というか。

 

まちづくり系の方(どころか、建築の実務経験者)からしたら常識という所かもしれませんが、、、

 

細かい部分はさておき、不動産売買において重要になってきそうなのは、

対象不動産にかかっていたり、近くにあったりする「都市計画道路」の状態にあると思います。三つの状態を、初歩的な範囲で整理していきます。

 

①計画決定:

決定、という言葉の印象が強いですが、事業着手時期が決まっていないものです。あくまで計画のみ決定されている、という所でしょうか。

 

②優先整備予定:

優先整備、というと今すぐにでも事業対象となりそうですが、実際はもっと気の長い話です。

「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」の公表について | 東京都都市整備局

東京都で言うと、現在優先整備予定になっているのは平成28年から「おおむね10年間で優先的に整備すべき路線」です。

 

③事業決定:

事業の着手が決まっている状態です。

原則、建物の新築ができないエリアとなります。

 

都市計画道路がかかっている場合の制約

事業決定では新築できませんが、計画決定の場合は新築が可能です。

ただし、原則として以下の制限があるようです。 

・階数が2以下であること

・地階を有しないこと

・主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造であること

 

以上のことを踏まえたうえで、区ごとに要調査です。

例えば杉並区では、上記の原則と同様でした。

 

ヒアリングした所では、構造的に縁が切れていれば、道路区域内外にまたがって建築することも可能だそうです。

道路区域内は上記の制限を守り、区域外は上記制限のないもので、一棟の建物とすることもできそうですね。

 

他の地域となると、また異なる制限がある可能性もあります。

(正直な所、自分の知識、経験では東京都内すべての自治体における制限についてお話できないのです)

ここから先は、実際に調査してみないとなんとも言えない部分です。

 

見えない条件のダンジョン

今回は、都市計画道路に関してつらつらと書いてきました。

それを含めて、さまざまな項目を調べていく役所調査は、みえない制限によってまちが形作られていることが体感できるものでもあります。

調べていくと、みえないものがみえてくる感覚になって面白いです。

 

その他のみえない制約に関しては、今後の更新で少しづつ補完していこうと思います。

それでは、また。